古いビルの空き室を埋める方法と正直な現実

テナントビルは当然新しいところのほうが埋まりやすい。

近隣に新しい建物ができると余計に空き室は埋まりません。

そして空き室期間が長いと何かに取り憑かれたかのように一向に問い合わせも来なくなります。もはや怪奇現象……というわけでもなく日本全国そうです。海外はどうなんでしょうかね?

空き室を埋める方法はチラホラ見ますが実際に効果があったという事例はほとんど見ません。

実際のところそれだけ難しいから事例が少ないのです。不動産屋さんもそんな難しい物件よりもっと簡単に決まる物件情報が欲しいので注力しているところも少ないです。

ビル全体リノベーション

家のリフォームと同じ。外壁から中の設備からガラッと入れ替えて新築に近い見た目にしてしまいます。

こうすると築古でも埋まる可能性はグンと上がります。

リノベーション事例が書いたチラシやネット記事を見たことがある人もいるでしょう。

しかしこれ。めちゃくちゃお金がかかります。

よく言うのですが、大規模なリフォームするなら建て替えたほうが安いという話。

これ大げさでなくて本当にそう思えるくらい費用がかかります。

そこまで資金があるなら建て替えも視野に入れるべき話。今の建物を残しつつ活用する理由やメリットを他人にハッキリと説明できないのなら選択しないほうがいいでしょう。

外観だけリノベーション

部屋がそんなに古くもないけど外観が古びている場合に有効。

塗装もいいけど外観をパネル素材で覆ってしまうケースも最近良く見ます。

施工自体が大掛かりではなく見た目は新築ビルになるのでかなり見栄えが変わります。

テナントを借りようとする場合、やはり最初に目にするのがビル外観なのでお化粧して上がるだけで結構変わるのです。

室内がそんなにダメじゃないなら外観だけでも変えると見た目だけでなく耐久性も上がるしメリットは大。

各部屋リフォーム

部屋が古いから借り手がないという場合はどこの古ビルにもある話。

リフォームしたことで空室が埋まったという話はよく聞きます。

ただリフォームにかけるお金をどれくらいの期間で回収できるのかが大事。

リフォームに100万かけて家賃5万ならざっくり20ヶ月で回収です。2年足らずで回収できるならいい投資です。

ただこれは入居者がすぐに見つかった場合です。

中には業者の勧めどおりに全室リフォームしたものの、まったく空き室が埋まらない、もしくは入ってきたけど出ていくのが早すぎて投資費用が回収できないという話もあります。

これはリフォームすれば空室が埋まるという思い込みが招いた結果です。

あくまで立地やテナント入居者が思い描く利用法にマッチするかどうかが入居の決めてです。部屋が綺麗かどうかはだいたいオプションの二番手以降の選択肢になるため、リフォームに力と金をかけても大家側の自己満足になるケースも多々あります。

なので中古マンションの売買では買主がリフォームをすることが多いように、賃貸テナントでも借主に部屋のリフォームを任せる、その費用は内容によって折半したり家賃が差し引くなどしてミスマッチを防ぐのも対策の一つです。

レンタルスペースにしてしまう

令和に入る前くらいからでしょうか?かなり増えたレンタルスペース。コロナ禍でも活用が増えました。

いわば時間貸しの駐車場みたいなもの。

1時間1,500円とか時間あたりの価格設定をして部屋を使ってもらうというビジネスモデル。

古いビルの一室を借りてリフォームし、それをレンタルスペースとして貸し出す投資をしている人が増えました。

ただレンタルスペースは今となっては数が増えた上に法人も進出し競争が激しくなっています。

ある部屋が人気と知れると、そこより立地がいい物件で同じ感じの部屋が作られそっちに客が取られたりなどなかなかしんどい。

自分でやるには需要のある部屋作りが必要なのでこういう作業が好きじゃないと結構キツイです。

業者や個人に任せてしまうのもありますが直接貸すより実入りは減ります。

また不特定多数の人間が入れ代わり立ち代わりするので、他の入居者がいる場合はトラブルになる可能性も少なくありません。これは部屋の使用目的次第でしょうけどね。

家賃を下げる

即効性で効果があるとなると家賃を下げること。

ただ家賃を下げて募集すると、自分が思っている利用法をされない可能性が増えます。

特に既存の入居者がいる場合、その人に家賃を下げたことが耳に入りがち。となるとこっちも下げてくれとなります。

空き室を埋めるためとは言え余計な心労が増えて下げなきゃ良かったと思うことも。

部屋に付加価値を付ける

結局これもお金がかかることが多い話ですが、単純な部屋としてではなく特徴がある部屋として貸し出すプラン。

最近だと防音マンションが空き室待ちで人気になっているように、近辺にない特性を部屋、またはビル全体に持たせることで付加価値を創造。すると家賃そのまま、もしくは家賃を上げた状態でも空き部屋が埋まる可能性が高まります。

どんな付加価値を付けるかは立地、周辺環境によって大きく変わります。

アパートの例ですが、風呂なし物件という今では敬遠されるような条件でも、近くの銭湯の入浴券を毎月付けることで人気物件になったケースもあります。

こうすればみんな興味持つだろう!という自分よがりのアイデアでやるとだいたいコケるので注意。調査とセンスが必須。

今の状態でも興味を持つ人を探す

不動産を探す場合、最近はネットに掲載された情報を見て現物を見て決めるという流れが増えています。

従来の不動産屋さんに希望物件を伝えて探してもらうスタイルも未だに強い。

ただどちらにしても、家賃や立地、写真などが掲載された不動産情報のプロフィールみたいなのを見て興味を持つことになります。

そこで興味がなければそれまで。

多数ある物件である程度条件を絞って探すため、本来なら少し条件違いでも見たら気に入る物件を見逃していることが多々あります。いわゆるミスマッチ。

絶対に結婚しようとは思わないタイプだったけど、友達に無理に紹介されて会ってみたら気が合った、みたいなことは不動産でも起きます。

このミスマッチを解消するべく、空き部屋の情報をより細かく、もしくはこういった人に来てほしいというモデル像を作って、その人に向けて必要な情報を発信する。そういった取り組みをすることで、今まで目に触れなかった人に見てもらうことで成約に近づけます。

ただもちろん難しい。そして無駄な徒労に終わる可能性も高い点はかなりありです。

でもうまくいくとお互いにWin-Winの非常にいい関係が築ける契約になり気持ちよく貸し出すことができるメリットもあります。